新刊が出ました。挿絵と装丁を担当させていただきました。
『空色の凧』(さ・え・ら書房)
シヴォーン・パーキンソン/著、 渋谷弘子/訳、陣崎草子/画

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「凧は青でなきゃいけないんだ。だって、金曜日が青い色をしてるんだもの」
と言ってハルは空と同じ色の凧を作った。
幼いころに死んだ父とした凧あげ…母親の再婚を前にして、
心の奥に封印していた過去と向き合う少年の物語。
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アイルランドのある街を舞台に、オリビアという少女を語り手として、ハルという少し不思議な感受性を持った男の子の姿を描いてゆく物語です。
ハルとオリビアはご近所同士の幼馴染みの関係で、妙なことばかり言うハルに、オリビアはふりまわされてばかり。だけどいつだってオリビアはハルから目が離せないし、ハルの気持ちに知らん顔なんかできないのです。
この語り手オリビアの口調が、翻訳者の渋谷弘子さんによって、とてもチャーミングにつむがれています。オリビアはときに少女らしくなく(あるいはいかにも、らしく)こましゃくれた哲学をつらつらと述べ、妙な自問自答をくりひろげるのですが、このかしましいオシャベリが実にユーモラスで愛らしいのです。読者にむかって「皆さん、思いませんか?」なんて、とつぜん話しかけてきたりしてね。
亡くなった父親への思慕と、新しい父親との対峙。
少し重いテーマを扱っていますが、空を見あげたくなるようなラストはさわやかです。

GARDAと刻まれている車はアイルランドのパトカーです。ハルとオリビアの他に登場する大人の粋はふるまいも見どころ。
アイルランドという国やそこで愛されている詩人、その地の人々の暮らしに思いはせながら絵を描きました。
とても素敵な物語です。ぜひ手にとってください。