2018年07月07日

新刊『こだわっていこう』(村上しいこ・作、陣崎草子・絵、学研)

『こだわっていこう』(村上しいこ・作、陣崎草子・絵、学研)が刊行されました!

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村上しいこさんの作品の挿絵と装画を担当させていただきました。
村上しいこさんは、以前から、なんてなんて面白いお話を書かれるのだろう、と尊敬していた作家さんです。
人気作『れいぞうこのなつやすみ』を読んであまりに面白くてビックリしたものでしたが、その他にも学校の日曜日シリーズや、『ともだちは わに』から始まるともだちシリーズ、『とっておきの詩』など大好きな作品がたくさんあります。
そうかと思えば『うたうとは小さないのちひろいあげ』に始まる一連の短歌を題材にした、苦さの中にも笑いが散りばめられた爽やかな青春小説を書かれるなど、広い年齢層の心の機微を大胆にも繊細にも描かれています。

そんな村上しいこさんの物語『こだわっていこう』は、えるくんとそうまくんという二人の男の子のお話です。
えるくんはちょっと控えめであまり強く主張しないタイプの男の子。
そうまくんはこだわりが強くてときどきえるくんを困らせるけど、いろーんなことを知っている魅力的な男の子です。
そんなふたりの世界を、やわらかい筆致でこまやかに描いてくださっています。

本書の装丁デザインは城所潤さんがご担当くださいました。
細やかなところまで気を配って、素敵なあたたかいデザインにしてくださいました。

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ふわふわんとした印象で描いた、えるくん。

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えるくんの記憶の中のそうまくん。
そうまくんは「こだわりスイッチ」が入ると、周りが見えなくなることがあって……。

けんかもするし、時には事件だってあるけれど、どうしてなんだろう、やっぱり遊びたいって思う。
そんなお友達、私にもいました。
私は、えるくんタイプでもあり、そうまくんタイプでもある、という感じの子だったので、ふたりの気持ちがしみじみ伝わりました。
だけど、大人って時に、こどもたちの世界の大切な何かに気づかずに、大人の理屈でこどもを規定してしまうところがあるかもしれません。

本作『こだわっていこう』は、自分の気持ちをうまく言葉にできないようなこどもたちの心にすーっと沁み入るのではないかしらと思うと同時に、大人に何かを気づかせてくれる物語でもあるように思います。

しみじみと長く深く、たくさんこども達、大人達に届きますように。
 
posted by 草子 at 22:49| 本の仕事・著作

2018年06月01日

新刊『ウシクルナ!』(陣崎草子・作、光村図書出版)

『ウシクルナ!』(陣崎草子・作、光村図書出版)
いよいよ悲願の刊行となりました!
こどもも大人も、たくさんの人にぜひとも手に取ってほしい関西弁をしゃべる「おっさんウシ」の爆笑ストーリーです。
★特設サイト
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/ushi/detail01.html

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装丁デザインは城所潤さん。キンキンのピンクで激しさ爆発のかっこいいデザインにしてくださいました。
めちゃめちゃ気に入ってます。城所さん、ありがとうございました!

大喜利プレゼント企画開催中です
みんなの「うちに突然来たら,困っちゃうよ〜」大募集!
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/ushi/detail00.html
『ウシクルナ!』の発売記念企画として,読者をはじめ多くのみなさまから「うちに突然来たら,困っちゃうよ〜(でも,おもしろいな)」と思う作品を募集します。
ご応募いただいた作品は『ウシクルナ!』特設サイトで随時発表し,その中から特におもしろい4名の方には、プレゼントが!

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本の中に挟み込まれた↑のハガキや、サイトからプリントした応募用紙で応募することもできます。

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こんなシートにあなたの「大喜利ネタ」を描いて送ってくださいね。
書店さんなどでのワークショップ開催のお問い合わせもお待ちしております!
お問い合わせ
光村図書出版 第三編集部 出版課 「ウシクルナ!」係
Tel:03-3493-3945


『ウシクルナ!』ってどんなお話?

小学4年生の男の子、四葉四郎くんの家に、突然、謎のおっさんウシがやって来た!

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四郎くんは、父ちゃん、三段界さん、栃乙女レラミ、霊能者の桂川ボンドさんなど強烈なキャラクターたちと共に日本一のバンドを目指すことになって……。

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予想を裏切る展開の連続。
貧乏を吹き飛ばすウシのパワーが爆発して、四郎くん大迷惑! という物語です。
たくさんの人にこの物語に出会って、笑って、スカッとして、嫌なことがちっぽけに思えてくるような、そんな気持ちになってもらえたらと切に願っています。

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書店さんに手作りPOPもお配りしています!
そんな強い思いから、手作りのPOPも作成しました。
出版社さんからも送付してもらえますので、手作りを置いてやろうという書店さんは、ぜひ、光村図書出版さんにご連絡いただけますと幸いです!
出版社さん作成のプレゼント企画用のPOPもあるようです。

http://www.mitsumura-tosho.co.jp/webmaga/ushi/detail02.html
光村図書出版 第三編集部 出版課 「ウシクルナ!」係
Tel:03-3493-3945

たくさんのこども達に笑ってほしいです。
どうかよろしくお願いいたします!
posted by 草子 at 07:07| 本の仕事・著作

2018年05月28日

新刊絵本『おしりどろぼう』(陣崎草子・作絵、くもん出版)

新刊絵本『おしりどろぼう』(陣崎草子・作絵、くもん出版)が出ました!
陣崎草子の作絵の絵本としては2作目になる絵本が、いよいよ刊行されました。
http://kumonshuppan.com/ehon/ehon-syousai/?code=29513

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ポイ〜ンと笑っちゃう、新しいおしり絵本の登場です。
くもん出版のくもん式の販売員さん数十名が試し読みしてくださったところ大ウケだったとか!
装丁デザインはアルビレオさんで、アルビレオさんもラフを読んだときに大いにウケてくださったそうです。
シンプルながら、随所にキュートさ満載の素敵な装丁にしてくださいました。感激です。ありがとうございます。

テキスト原稿を書いていたときからグツグツと笑っていました。
自分でいうのもなんですが、大好きな絵本ができました。

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なんだかにくめない動物たちをいっぱい描きました。
ある日、かばくんがパンツをはくのも忘れていそいで家を飛び出して行きます。
いったいかばくんは、なぜそんなにいそいでいるのでしょう? そして、そんなかばくんの、丸出しの素敵なおしりがねらわれる!?

おしりづかいコンテスト、プレゼント企画があります!

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(※画像はくもん出版さん企画サイトより)

『おしりどろぼう』の目玉企画としてコンテスト式のプレゼント企画があります!
http://kumonshuppan.com/naruhodo/oshiridorobou/
サンプルで載せてくださっているこどもたちの絵がすごーく楽しいですよ。ぜひ見てください。
絵本を読んで、はさみこみの「おえかきシート」に、自由に描いて送っていただくと、すてきな「おしりづかい」を陣崎草子&くもん出版編集部さんが選んで、なんと、陣崎の直筆原画など、豪華賞品をプレゼントします!

◎賞◎
最優秀おしり賞 :1名様
陣崎草子さんがあなたの「おしりづかい」を絵にしてプレゼント!
優秀おしり賞 :3 名様
陣崎草子さんがあなたの「おしりづかい」を色紙に描いてプレゼント!
すてきおしり賞 :30名様
陣崎草子さんオリジナル「おしりどろぼうノート」をプレゼント!

◎締め切り◎
2019年5月31日(金) 消印有効
*賞品の発送は2019年8月頃を予定しています。

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書店さん用に、こんな手作りPOPも作成して、書店めぐりをしています。
どうか、『おしりどろぼう』の応援をよろしくお願いいたします!

こどもも大人も、たくさんの人に笑ってもらえたらうれしいです。
ぜひとも書店で手にとってくださいませ!
 
posted by 草子 at 12:31| 本の仕事・著作

2018年05月25日

絵本『へんしん! モグネグネン』(イトウユーイチ・作、陣崎草子・文、ベネッセ)

絵本『へんしん! モグネグネン』(イトウユーイチ・作、陣崎草子・文、ベネッセ)

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ベネッセの「こどもちゃれんじほっぷ」の月刊絵本えほんばこより、『へんしん! モグネグネン』が刊行されました。
イトウユーイチ・作、陣崎草子・文、となっていますが、本作、少し変わった形式で関わらせていただきました。

イトウユーイチさんといえば、NHKのぷちぷちアニメ「ニャッキ!」などの作品が大人気のクレイアニメーションの監督さんです。
http://www.i-toon.org
そのイトウユーイチさんが、まずクレイによって絵を制作され、完成した絵に陣崎がテキストをつけるという、普通の絵本とは逆のパターンで作成されました。
まず「どんな絵本にしようか」という段階から、イトウユーイチさん、陣崎、編集者さんの三つ巴で絵本の完成像についてディスカッションしていきました。とても刺激的な時間でした。
そうして練り上げられた展開、構成は、さすがのイトウユーイチさん!
とってもチャーミングだけど、どこかスパイスが効いていて、しかもクレイアニメーションのダイナミックな動きを感じさせるエンターテインメントにあふれた絵本となっています。
粘土という特質も存分に生かされていて、奥行きや立体感を感じ、触覚にふれてくる感じもたまりません。

ちなみに私、かつてほんの少しの期間、イトウユーイチさんのクレイアニメのスタジオで働かせていただいてたことがあり、そのときにイトウさんが、映画館で上映される作品「ノラビッツミニッツ」の試写に向かう電車の中で、私の絵の具まみれの手と、綺麗な格好をしたお姉さんを交互にさして「自分の手は汚れてて恥ずかしいと思うかもしれないけど、こういう手がクリエイターの勲章だよ」とおっしゃった言葉をずっと忘れずにいます。
作家として生きる決心と弾みをつけることになった大事な出来事のひとつです。

興奮まちがいなしの大展開連続の絵本です。
たくさんのこども達が、このチャーミングにしてダイナミックな絵本を楽しんでくれますように!
  
posted by 草子 at 14:32| 本の仕事・著作

2018年05月01日

鬼ヶ島通信 短歌連作「幾億のバネもつ子ら」

鬼ヶ島通信 50+20号にて、短歌連作「幾億のバネもつ子ら」を寄稿しました。
テーマは「バネ」という本誌では、そうそうたる作家の方々が自由な創作を寄稿されています。
http://onigashima-press.com

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短歌

青嵐 五体に埋まる幾億のバネぎちぎちと鳴らす少年

旗手たれと育てし親を憎みつつけれど時代の先端を跳ぶ

ちからちからちからをなんにももってないことのうれしさここに埋めとく

識るほどにふかかいであるあらそいのほしにうまれて土喰えば甘い

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〜極めて無責任に、国家の滅亡を待ち望んでいる〜


短歌は通常、小説などとは違い、編集者さんからの修正案や添削を受けることはなく、独りの作業となることが多いのですが、今回は物語の編集者さんだったこともあり、初案から「もう少し〜に」という感じで押し戻しの提案があり、そのために返って、ぽんっと飛躍するような状態がありました。
短歌は私にとって散文と比較すると非常に燃費の悪い文芸で、たった31文字を表すのに一週間も頭をひねる事もあります。
今回も一週間首をひねっても上手くひねり出されなかったものが、編集者さんの一言という刺激を受け、一瞬は「むむむ、ダメ出しか......」とネガティブに受け取ったにも関わらず、するりと一首が、今度は1分ほどで出て来ました。

谷川俊太郎さんがトークイベントで「ダメ出しされると、むっと思うんだけど、良くなるんだよ、これが」とおっしゃっていた事を思い出します。
一緒にするのはおこがましい話ですが、そのときは谷川俊太郎さんでもダメ出しがあるんだ!? と驚いたものでしたが、編集者さんのくださる押し戻しの一言というものが、この連作においては、ぐいっとドライブを切り替えてくれる要因となりました。

佐藤さとるさんの追悼号でもある、とても読み応えのある本書、ぜひとも手にとってくださいませ。

2018年04月05日

私の絵本論@ 絵本は親子のコミュニケーションツールである、という考えについて

「絵本は親子の(大人とこどもの)コミュニケーションツールです」といった文言を見かけるたびに、私は「そんなバカな!」と思う。
この断言の中には、「こども」という存在が元来そなえている感受の能力の、その圧倒性を見損なっている態度を感じ、見るたび、胸がわななく心地がするのだ。「そんなバカな!」と。
少なくとも「そのようでもあれる」と述べるなら分かるが、こういう断定がまん延することを、一作家として見過ごせないように思う。

自分自身が幼子であったときの絵本との時間を、私は鮮明に憶えているけれど、絵本であれ、それ以外のどのような現象であれ、「そこにある世界」と「一対一」の出会いをし、その世界を受けとるとき、私は、たった3歳や5歳であっても(いや、3歳や5歳だからこそ)、大人たちによる介助や介入など、いっさい必要としなかった。
たしかに私は小さい肉体、小さい指しか持たなかったが、しかしその何十倍も大きく、かつ純粋度の高い心と魂をそなえていたので、たったひとりで、「そこに在るもの」を十全に味わうことができた。
大人の介入は、多くの場合、第一の「世界」との出会いにおいて、邪魔である。
なぜなら、「そこにある世界をそのまままるごと受けとめ、感じる」という能力において、ほとんどの大人は、決定的に「こども」という存在よりも劣るからだ。

大人は、この世界の万象と出会うこどもに、すぐに言う。
「あれは花だよ。○○という名前だよ」
「これは車だよ。走るんだよ」
(このようなことを、私自身、よくやってしまう)

私を含め、大多数の大人は「名づけ、分類、定義の世界」にどっぷり浸りきって生きてしまっている。
そのために大人は、「存在が、ただそこに在ること」「現象が、ただそのようであること」という、「ただ、在る」という状態に長く耐えようとしないのだ。
しかし、こどもは違う。
こども時代の私たち人間は、「花が、ただそこに在る」という、まじり気のない現象を、まったく純粋度を失わずに全身で受けとめることができる。
この神聖な能力は、すべての人間が携えて世に現れるが、それを、さまざまな「よかれ」の洗脳に後押しされて、「教育」「情操育成」などの文言を旗印にして、せっせと潰しにかかるのが、大人たちであり、社会である。

もちろん、たとえば花を見るときに、ひとりで見るのではなく、ふたりや複数で見ればこそ素晴らしい時間が得られる、という事実は充分理解しているし、絵本を媒体とした親子のコミュニケーションは、この「ふたりで花を見ること」と近い幸福な効果を生むだろうとは思う。
その部分を否定しようとは、まったく思わない。

それでも、人間がただの「ひとつの現象」として、同様に「ひとつの現象」である野の花と、一対一のまじり気のない出会いや対話をするとき、その花は、この世界に関する言語化しようもない圧倒的な「真なるもの」を伝えてくれる、あの他ととりかえのできない幸福な状態を、大人のみなさん、あなたがたはご存知ではないのですか?
そう問いたくなるのだ。

ひとつの花とひとり向きあうとき、空の星々とひとり向きあうときの、あの圧倒性のことを、私たちはみな心のどこかで知っているし、あの確かさを信じているではなかったのか。

我ながら残念だけれど、私自身、この「感性を鈍らせた大人」の一員だ。
しかし、その自覚があるからこそ、罪悪感に苛まれる。
絵本作家とかいったものの末端に並ぶというのに、「こども」という存在に方向づけをし、意のままに動かそうという大人たちの「意図」が滲む行為に、抵抗しなくていいのだろうか? と。

「コミュニケーションツールです」と言いたがるのは、大人の側のさまざまな自己都合の弁明を内包する言葉であって、純粋度の高い「こどもという存在の欲求」の核を突いているとは言えないと思う。
にも関わらず、この「親子のコミュニケーションツールである」という言葉は、商業主義の大通りで市民権を得て、我が者顔でのし歩く。
まるで新しく親となった人たちに、「絵本をこどもと読めば、良好な親子関係が築けますよ」とでも耳打ちし、薬の効能でもうたうかのように!

私は「コミュニケーションツール」を創っているのではないし、創りたいのではない。
私は「世界との対面の瞬間」を創りたいのだ。
そして「絵本」という表現は、「大人がこどもに楽しめる何かを与えてあげる」ための表現では、絶対にない、と思っている。

絵本の創造とは、大人という、社会に手なづけられてポンコツに錆びた存在が、「こども」という「世界についての優れた感受装置」としての圧倒的な存在の内に分け入り分け入りし、「完全であった状態」に帰還しようと試みる行為である。
堕落した大人は、こども性に帰還し、あの「全き万象」のことを思い出す必要がある。
少なくとも私にとっては、そのチャレンジが絵本という表現をやろうという動機であり、意欲の源泉となっている。

そして私たち人間は、「こども性」に帰還するという道をたどることで、「人間が、人類史においてどのような間違いを犯して来たのか」をたどる力をつけることができると考えている。
なぜなら、生まれたばかりのこどもは、いっさいの間違いを携えることなく、世に現れるからだ。

あの「真なる存在」への帰還を、創造という行為を通して、何度も何度も試みる必要がある。
そうでないと、私たちは「間違いを犯しつづける世界像」から、いつまでも脱却できない。
戦争や犯罪や差別が充満する世界を構築してしまった人間の、その過ちの解明に至れない。

絵本とは、人間の「帰還」のための、頼りなくもか細い、しかし必死の方法論のひとつだと考えている。
絵本に大きな力はない。
けれど、なけなしの努力やあがきは無駄にはならない。
どれほど少しずつであろうと、「人間の帰還の道」を、私は繋げていくつもりで創作をやろうと思っている。
タグ:絵本 絵本論
posted by 草子 at 18:28| 表現、その他についての考察

2018年03月12日

新刊『仮面シンドローム』(金の星社)

新刊が出ました。
『仮面シンドローム』(金の星社)
https://www.kinnohoshi.co.jp/search/info.php?isbn=9784323062181

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NHKでかつて放映されていた10代の悩みに応える人気番組「オトナヘノベル」の、番組内のドラマの原案小説が、この度、書籍として刊行されました。
装画は、げみさん。空気感のある絵が素敵です。

執筆陣と内容は以下の通りです。
「かっこつけて大失敗 見栄っぱりなボクらに愛を」長江優子
「トランスフォーム×ハイスクールT 彼女は有罪」陣崎草子
「トランスフォーム×ハイスクールU 彼女の仮面」陣崎草子

私の執筆した「トランスフォーム×ハイスクール」のシリーズは、かっこよくて女子に大人気だけど実は乙女男子であることを隠している深見条、コープスペイントでひとり歌をうたい動画配信をしている謎の少女、いやし系凄腕ドラマーの原大元、クラスでは人気者でバレー部では鼻血ブー子と呼ばれてしまう有本世利、そしてクラスでは目立たないように過ごす影のある春山凜ら、とある高校生たちの「キャラクターコンプレックス」にまつわる物語です。

番組放映時、この「キャラ変」のテーマは特に人気があったそうです。
10代の生活では、学校内でのキャラや立場、位置付けってとても切実な問題です。
私自身、高校生の頃は「海がきこえる」というアニメに憧れて、田舎に引っ越してキラキラの転校生になって人生を再スタートさせる妄想に取り憑かれていました(笑)

そんな10代の妄想に効く小説が、10代のみなさんに届きますように。
ぜひ手にとって読んでくださいませ。


 
posted by 草子 at 14:30| 本の仕事・著作

2018年02月16日

『短歌は最強アイテム 高校生活の悩みに効きます』(千葉聡・著、岩波ジュニア新書)

歌人で高校教師でもある千葉聡さんの著書に、陣崎草子の短歌を一首引用いただきました。
『短歌は最強アイテム 高校生活の悩みに効きます』(岩波ジュニア新書)
https://www.iwanami.co.jp/book/b325119.html

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千葉聡さんは「ちばさと」の愛称で親しまれている高校の先生で、以前は中学校に勤めており、その教師生活の様子は、第三歌集『飛び跳ねる教室』(亜紀書房)や、『今日の放課後、短歌部へ!』(角川書店)にもエッセイとして納められています。
本書は、さまざまな歌人の短歌を引用しながら、今を生きる高校生たちの青春性と、ちばさと先生の青春性(としかいいようのないまっすぐな生き方)が、エッセイとして綴られているという形式で、各章には千葉聡さんの短歌連作も納められています。

千葉聡さんは新任校の着任式で「前の学校が大好きでした!」と挨拶してしまうような、まっすぐ過ぎると思うほどまっすぐな方で、エッセイを読んでいると、そのまっすぐさ故に引き起こされる数々の出来事に、「こんなに全力投球で生きていいものなのか」と、謎のハラハラを感じてしまい、いつの間にか手に汗握りながら読み進めている自分を発見することとなります。
ときに人格人品や善性をギリギリと問われる事態にみまわれながらも、ちばさと先生は体をふるわせ、声をふるわせて人生と生徒たちに向かっていきます。

多くを語るには随分時間がかかってしまいそうな本でありエッセイシリーズなので、ぜひとも直接手に取ってみてください。
学生時代を生きる人のみならず、この世のすべての、正直すぎるせいで異様な熱量を発してしまう人たち(それは私自身もそうだと思いますが)への、応援歌、賛歌とも言えるシリーズです。
この文章を書いている間も、書いては消し消しては書きと、謎の汗をかいてしまいました。

そしてこのギリギリした緊張感を、いつか千葉聡さんの書く青春小説の中でも味わえそうな気がしています。


国語科のドアに「校内どこかにはいます」と貼って空を見に行く   千葉聡

 

2018年02月11日

バンコクこどもの本紀行:「飛ぶ教室」的 世界一周旅行!:雑誌「飛ぶ教室」52号

雑誌「飛ぶ教室」52号
【特集】「飛ぶ教室」的 世界一周旅行!
タイのバンコクの「こどもの本紀行」のイラストエッセイを書かせていただいています。
http://www.mitsumura-tosho.co.jp/shohin/tobu/book_t052.html

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・バンコク行きの飛行機をまちがう大失敗!
・IBBY(国際児童図書評議会)のアジア・オセアニア大会のレポート(楽しいよ〜。参加絶賛おすすめ!)

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・バンコク国際交流基金さん主催、マイティブックの松井紀美子さん企画の、熱い! こどもの本のトークイベント inバンコク
現地ですばらしい通訳をしてくれたニンさんも、バンコクのこどもの本事情について記事を書いてくださっています。

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・タイで活動するNGOマレットファンさんの素晴らしい活動!

などなどについて書きました。
マイティブックの松井紀美子さんはじめ、オーストラリア在住の作家、渡辺鉄太さん、日本の作家、濱野京子さん、まはら三桃さんなどなど旅友の皆さまにもご出演いただいています。
珍道中でした! めっちゃ楽しかった〜。
いろんな人が私の記事読んで「バカだ〜」と笑ったらしいので、ぜひ手に取って読んでくださいませ。
 
posted by 草子 at 07:18| 本の仕事・著作

2018年02月10日

現在考C【大樹の声〜それから】

大樹の声を聞き、昨年末に書いたこと、想定していたことが、年をまたいで早々に現れて来ている。
(この件は、もう少し踏みこんだ詳細は別所に記している)
昨年に見つめてきたことと同じような構造、同じようなパーソナリティが、現在世情に浮かんでいる。
けれど、出来事の根本に横たわるのは、パーソナルな問題ではない。
「構造」の膿が表面化しているに過ぎないのだ。

具現化のスピードがかなり早くなっており、時代の開演を実感する。
さまざまな事がスピーディに展開している。
起きるだろうと直感したことが概ね起きるようになっており、もはや口にすることができない。
私の周囲にいる人の中には、このような出来事を実際に体験している人もあるので、分かってくれる人も少数ながらいるはずと思う。
それらはすべて、シグナルとして起きている。

もちろん、理解者を求めることはしない。人はただ、それぞれ一個の旅人なのであるから、なにを信じなにを理解するかの自由意志は、絶対的に尊重されている。

大樹は語っていた。
「気づかなければいけない」
「止めなければいけない」
「思い出しなさい」

あのとき知覚した出来事は、避けがたく起きるのかもしれない。
もしそうであるなら、個々の人間が、「その根にあるもの」にひとつひとつ気づいていく以外に救済の道はないと思う。
「何があの木をあそこに立たせたのか」
そこを深く見つめ、問うことに集約されている。

現在、問題化して炙り出されているようなことや、「あの大樹」が象徴となり得るような出来事は、この2〜3年ほどであちこちから現れて来る。
それらの問題は、それぞれの人に「生き方」「在り方」について、真を問うこととなっていく。

当事者に罪があるという訳ではない。
というよりも、当事者の罪として考察するだけでは、あまりに不十分なのである。

多くの人が、社会幻想にとらわれ、共犯者的に構築してきた「構造体」の欠陥が、顕わになってきているということだ。
私たちは、精神性や表現の真実、自然との調和の態度をかななぐり捨てて経済を追い、意識高々とよく考えているふりを装いながら、しかし極めて無思考に、虚構の塔を建ててきた。

その虚ろな建造物の倒壊に立ち会うことは、当然のつとめともいえるのだろうと思う。
 
posted by 草子 at 04:07| 表現、その他についての考察

2018年01月01日

2018冒険元年、新しい船「地球、おもしろすぎる」号にのる

明けましておめでとうございます。
2018年の元旦は生まれて初めて海からのぼる初日の出を見ました。
燃える大きな太陽と七色に光る海。
地球の威力と神秘を感じて感動しました。
2017年もめくるめくようなワンダーすぎる一年でしたが、2018年はさらにハイパーな始まりとなりました。

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今年はさまざまな事が怒濤のように生じ、走り飛び踊りまわる年になります。
冒険の船を、いよいよ港から出発させる年になります。

地球上のあらゆるものを見て、感じて、この世で出会えた各地に生きる仲間たちと共に、個々の個性を存分に輝かせながら、共創的に、オーケストラの合奏のように、地球を美しくし、他者を助け、平和を創る活動を果たしてゆきます。
今、仲間たちとどんどん出会い、繋がり、お互いを励まし盛り立てあっていることを強く感じています。

Tutti!
この言葉を、夢を通じて私に教えてくれたのは、サン=テグジュペリでした。
「憶えておきなさい。必ずそうなるから」
そう繰り返し言われ、頭に叩きこまれました。
初めて知る言葉でしたが、目覚めてから調べてみると、イタリア語の音楽用語で、「全奏」という意味だと分かりました。
「すべての奏者が同時に音楽を奏でる」という意味です。
この「Tutti!」を、出会った人すべてと、やがて果たしてゆくことになるのだと。

サン=テグジュペリはフランス人ですが、なぜかイタリア語の音楽用語で教えてくれました。
(耳残りする短い単語なのでバカな私でもこれなら憶えられるだろうと考えたのでしょう)
(ちなみに夢でサン=テグジュペリに会ったときは、彼だと理解するまで「誰? この鼻たっかい人相の悪いおっちゃん」と思ってました)
(ついでに私は、サン=テグジュペリの人相が、案外悪人顔に見えるのが昔からとても好きでした)

個人的な仕事としては、これから日本や世界のあちこちを巡り、出会い、探索し、研究し、感じ、考えたこと、そして思い出した数々を、やがて大きな絵物語として、タペストリーを織るごとく編み上げてゆくことになります。

それを果たすことを目的のひとつとして私は生まれました。
絵だけではなく、短歌や文筆を学ばされて来たのも、自然科学に出会ったことも、今のアトリエを与えられたのも、多くの人との出会いも、すべてはそこへ繋がってゆくのだと知らされています。
私の全霊に埋まる「記憶の種」を掘り起こすための旅に出航します。
まずは今年はサマルカンドから!

地球上で出会えたすべての皆さまに深い感謝を。

すべての人の真実の個性が輝きわたる世界にて、お会いできますと幸いです。
posted by 草子 at 11:11| 表現、その他についての考察

2017年12月29日

現在考B【樹木から教えられたこと:大波の越え方】

これからますます激動の時代となるけれど、といって、もはやニュースを見て一喜一憂する必要はかえって無くなっていくと思う。
なぜなら、国内のものであれ海外のものであれ、メディアにも知識人といわれる人々の口にも、もはや真実はのぼらなくなるからだ。
それどころか、かえってこれらの場では、いまだ「諸論」があるかのような装いが蔓延してゆくだろうと思う。

古い構造体の洗脳から目を覚まさない場合、「諸論」の装いに振り回されつづけることとなり、不安や恐れや絶望ばかり口にしながら歩むこととなる。
不安や恐れは、道を誤る最大の要因。
人々の視界を遮る濃霧となる。

それよりも、「自己」というアンテナを高高度にかかげ、その広い視野に行く先のナビゲートを託す方がずっと安全だ。
「天意の采配に自己を明け渡す」といっても良いかもしれない。
「天」は恐るべき完璧さで「個」をあるべきように動かす。
そして、天とは自己そのものなのだ。

高高度のアンテナに託せば託すほど、必要なときに必要な方角から、「これは」と思う情報が必ずもたらされる。
それらの情報は、すべての人に個人仕様にしつらえられているため、どれほど遠回りに見えようと、結果、最短かつ最も安全な道が選ばれていたことを、後になって知ることとなる。

「安全な道」は、ときに苦難に見えることもあるかもしれない。
例えば現在では、その類の苦難を、リストラ、退職、倒産、転職などの仕事環境の失敗や変化、抑鬱や身体的な病気、離婚などの様々な「苦」としか思えない出来事として味わうこととなり、人生のターニングポイントを迎えている人々も多くいる。

けれど、一見「弱者」となって転落を見たかに思えるその苦難が、実は「後に来るもっと大きな苦難」から救済されるための道であったと知る人は多い。

「天は自らを助くるものを助く」

「自己の真実の心」を一心に信じ「本来の自己」に背かない者だけが、アンテナを高高度にかかげる方法を見いだす。

生まれたときから、ずっと共にあった「自己」と、今こそ強く手を結ぶ必要があると思う。
もはや誤った世界が見せる混乱した情報に振り回されている時ではない。

「もっとも正確な筋書き」を持っているはずの「自己」は、すべての人にとって、生まれたときからずっといちばん近くにあったものなのである。 

 
posted by 草子 at 19:48| 表現、その他についての考察

2017年12月27日

現在考A【樹木から教えられたこと:新しい船に関する現代の神話】

切り倒された大樹は、大規模にも中規模にも小規模にも、むこう10年はいかない程度の未来に関する資料集のように機能し、海際に立っていた。

現代の神話

旧時代の構造体が「幻想」として虚実をとり混ぜて練りあげてきた「見かけ上の名誉、名声、栄光、功績、成功、権威」などについて。
これらのものは、この数年の間に次々その実態を露呈させ、倒壊してゆく。
「暴かれたもの」の中には、未だ古い構造体の残存エネルギーによって辛うじて立っているものもあるが、それもこの数年で倒れ、流される。
もともと幻であった名声や功績は、幻らしくあとかたもなく消える。そして未来に何をも残さず終わることとなる。
怒濤といってよいスピードで訪れるそれらの現象を、私たちはこれからおおいに目撃する。

「古い構造体」が見せる幻想への執着を捨てられない人々は、重い衣を脱ぐことが出来ないばかりか、さらに重ねて衣を着、そのうえ重い荷物まで担ごうとする。
「溜め込んだ荷物によってしか救われない」「持っている荷の重さで価値が決まる」という幻想から目を覚まさないためだ。
持ち物が重いほど動きが遅くなることに気づく人と、そうではない人に分かれてゆく。

そして、「古い価値」を燃料にして動く「古い構造体」の船は、重い衣をまとった動きの遅い人々を、つぎつぎと飲み込んでゆく。
ひととき、多くを飲みこんだ「古い構造体」の船は、得体が知れないほど巨大な姿となり、権勢を誇るかのように見えるだろう。
しかし、ふくれるだけふくれた「古い構造体」の船は、やがてその自重のために海へと沈むこととなる。

「新しい価値」で動く船は、重い衣や重い荷物を捨て去った人々が乗る船である。
それは軽く速く、空を疾駆する船となる。
「古い価値」で動く船は、「新しい価値」で動く船をも飲みこもうと必死で追うが、重い船が、すみやかに空へのぼる軽い船に追いつくことは決してない。

ひとびとを「新しい価値」で動く船に案内すべく、真実の光の仕事に携わるものたちがいる。
そのものたちは、大樹が土中にめぐらした根と、その間を行き来する菌糸のネットワークによって、強固に繋がりはじめている。
地下にて育つ光たちは、互いを助け、歌を鳴き交わすように情報を交換しあい、やがて大地に無数の光の柱を立てるため、今という時を生きている。

元来、信じるべきは「自己」という高感度のナビゲーションシステムのみであった。
自己の内側にある光の中にこそ真実がある。

私たちは、光を目撃するためにこの地上に降りたことを、今やはっきりと思い出そうとしている。

posted by 草子 at 00:00| 表現、その他についての考察

2017年11月10日

11月21日(火)トークイベントのお知らせ

子どもの本の作家がバンコクで考えた「アジアの子ども達が 夢中になれる本」

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お申し込みはこちらから。予約番号が発行されます。
http://ibbyasia2017thailand.webnode.jp/talk/

メルボルン在住の作家で翻訳家の渡辺鉄太さん、坪田譲治賞作家の濱野京子さん、絵本作家、児童文学作家の陣崎草子で、バンコクでの体験についてお話します。
企画と主催はマイティブック代表で子どもの本のジャーナリスト、松井紀美子さん。
ぜひお越しくださいませ。

<開 催 日>
2017年11月21日(火)
時間:19:00〜20:30 ※受付18:30
会参加費:1000円 ※申し込み先着40名
場所:渋谷ヒカリエ カンファレンスルームC(シャトルエレベータ直通11階スカイロビー)

 
posted by 草子 at 10:05| 展示・イベント

2017年11月05日

現在考@ 日々思うところを書き残すようにしていこうかと


最近、時代の大きなうねりを感じて日々思うところが増えて来たので、たまにエッセイや考察としてブログに残してゆくことにしました。
そのうち、専用のブログを立てて移行するかもしれませんが。

【季節風大会 絵本、児童文学、短歌の批評文化の異なり】
児童文学の同人「季節風」の大会に参加し、感想を寄稿する役を仰せつかり、自分が足場を置く、絵本、児童文学、短歌のそれぞれのジャンル毎の批評文化について少々書かせていただきました。(掲載は来年かな?)

以下はその流れで、近ごろ思うところについてと、つづけて、感想文の一部抜粋です。

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現在の世について個人的に思うことはあふれるようにある。
そのひとつ、法律について。
まず、私たち人間の大部分は「法律」というものを、本来あるべき運用法とまったく逆の運用をしていると思う。
法律(ことに犯罪にかかる法律)とは本来、「罪を犯した者を罰するシステム」としてではなく、「罪を犯した者を許してゆく課程のシステム」として運用されるべきなのだ。
そうすれば、「罪」というものや「被害」というものの概念そのものが現在とはまったく異なるものになり、反転した世界像が現れる。
犯罪や戦争などの他害の様相が大幅に変化するはずだ。

しかし、上記の法律の例のように、旧来式のシステムの欠陥を見破り、概念を転覆させ、反転世界を現実に構築してゆける者は、「これから生まれるこどもたち」の中にしか現れない。
(そしてこれまでは、太古の歴史や一部の民族、ファンタジー文学など仮想世界や理想の中にしか顕現していなかった)
「これから生まれるこどもたち」は、私たちの目が急速に開かれてゆくような「本来的であり、かつ、エポックメイクに映る概念」を提示してくれる存在だ。

このような、これまで人類がその史上に積みあげた「まちがいレンガ」を取りのぞき、「反転世界」を構築、運用していく世代を迎えること、現在の世からは「逸脱した思考や行動をする存在」とみなされる「新しいこどもたち」の道行きを支え、道程の地ならしすることが、今を生き、かつ、表現の分野に携わる者の仕事になってくるだろうと考える。

「こどもは真っ白なキャンバスである」という考えは誤っている。
パウル・クレーが言うところの「死者と胎児の間の世界」から現れる赤ん坊は、無数の「智慧」と「情報更新の可能性」を携えて世に現れる。
それを社会幻想に漬け込んで崩壊させてきたのが、これまでのおとな達だ。
「こどもの本の仕事」とは、このおとな達の、目を覆いたくなるような無惨な無理解に対する懺悔の表明ですらあるといっていい。

出版システムそのものは、社会の変動に合わせて今後大激変を迎えると思うけれど、「表現」に携わる者の果たす役割は本質的には変わらない。
そして、「そのように感じ、考える者」と、旧来式のシステムと商業主義の中に居続けようとする者との極分化は、緩慢に来るというよりも、短期的な大波を体験することによって訪れると予期する。


さて、以下は「季節風」に寄せた感想文の一部抜粋。
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 批評精神や批評文化には、こういった「時代の大波」を「個=作家、あるいは作家たち」が、いかに乗りこなしたか、当人が生きた時代のなにを見破り、どのような新機軸をうち立て、どのように真実の一端を述べたかを見通す力を有します。優れた批評家は、作家や作品に対する情熱的な愛(批判もまた愛)を燃料にして、鋭い洞察力とロジカルな思考力、美しい文体を駆使しながら、時代と個人を見通し、後代に受け継ぐ仕事を果たします。
 今回、「名無し分科会」に参加させていただいて感じたことは、政治、生活、文化のあらゆる面で大変化の大波を目前に控えているだろう「今」という時代にあって、作家自身が同時代の作品を批評的に考察する力を養うことや、ときに評論という形で後に残る仕事を果たしていくこと(これについて短歌の批評文化は少々参考になるかもしれません)、また、評論の場自体を活性させることなどが、重要になってきているのかもしれないということでした。

「今」という時代の私たちは、過去の歴史の大きなうねりをふりかえっても尚、さらに大きなものとなるかもしれない「大変化」の、前夜のような時を過ごしているといっても過言ではないと、私自身は強く感じています。

 
posted by 草子 at 01:57| 表現、その他についての考察

2017年09月20日

雑誌「GINZA」にて短歌と写真のコラボレーション

雑誌「GINZA」10月号(マガジンハウス・刊)にて
コスメのコーナーで短歌と写真のコラボレーション企画に短歌を寄稿しました。
https://ginzamag.com/

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シャネルの新作香水「ガブリエル」とのコラボ記事もあります。
「ガブリエル」はココ・シャネルの本名。
シャネルが新しい香りを発表するのは十数年ぶりとのことで、ココの本名を冠された新作にはシャネルの情熱と本気が託されているのでしょう。
新時代を開く革新的な魂たちへのエールです。

写真家のYoshiaki Todaさんは御年70歳の大御所で、重厚芳潤な写真に短歌を寄せられ、非常に刺激的な仕事でした。

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posted by 草子 at 05:10| 本の仕事・著作

2017年09月18日

ペットショップにいくまえに展 2017

ペットショップにいくまえに展 2017
2017年 9月21日(木)〜10月9日(月祝)
ショップ&ギャラリー ウレシカ
*火曜・水曜休み open:12時〜20時
詳細はこちら

毎年、超話題の「ペットショップにいくまえに展」にとうとう参加させていただきます!

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犬や猫を新しく家族に迎えたいと思ったとき、お金で買うというのではなく、飼い主のいない動物をもらい受けるということが当たり前の世の中になってほしい。
絵本作家のどいかやさん作のフリーペーパー「ペットショップにいくまえに」に賛同する作家が参加。作品を展示販売いたします。

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こんな絵など、複数点を展示販売しています。
私の作品は売り上げの一部を動物の保護活動へのチャリティとさせていただきます。

《参加作家》
いぬんこ
かわかみたかこ
後藤美月
小林敏也
霜田あゆ美
陣崎草子
しんよんひ
出口かずみ
どいかや
とりごえまり
秦直也
深瀬優子
PEIACO
牧野千穂
水沢そら
DM絵:PEIACO

ペットショップにいくまえに
bikke.jp/pet-ikumae

会場では、犬の殺処分問題と対決する中学生男子の姿を活写した児童文学作品『片目の青』も販売します。

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すばらしい作家さんの中に加わらせていただき、とても嬉しいです。
私も、動物の殺処分問題は人間社会が解決せねばならない大きな問題のひとつだと思っています。

ぜひぜひ足をお運びくださいませ。
何卒よろしくお願いいたします!
 

posted by 草子 at 08:08| 展示・イベント

2017年09月11日

新刊『うっかりの玉』大久保雨咲・著、陣崎草子・絵、講談社・刊

新刊が出ました!
『うっかりの玉』大久保雨咲・著、陣崎草子・絵、講談社・刊
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なんと、江國香織さんが推薦の帯文を寄せてくださっています!
私は装丁画と中の挿絵を担当させていただきました。

本書は「児童文学」でありながらも、すべて「おとしより」の物語でまとめあげられているという、珍しい物語。
ですが、その珍しさも、大久保雨咲さんのふんわりとやわらかい中にスパッと個性が鋭く光る文章にふれると、納得です。
はじめて原稿を読ませていただいたときから、大久保雨咲さんの書かれる文章、物語にすごーくトキメキを感じました。
大久保雨咲さんにしか描くことのできない、独特の世界観や視線や言葉づかいがきらきらと光っていて、とても新鮮な読書体験を得たのでした。
雨咲さんの物語に出会わせてくださった、編集担当の松田素子さんと講談社のSさんに深く感謝申し上げます。

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帯をとった装丁はこんな感じです。
今回、雨咲さんの新鮮な物語に触発されて、自分でも新しいことをしたいなと思い、切り絵や布を使った絵にチャレンジしました。
すると、タカハシデザイン室の高橋雅之さんが、なんともいえず愛おしいチャーミングな本姿にしてくださいました。心より感謝!

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紙と布のテクスチャの違いが気持ちよいです。

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収録作は全部で6話。そのすべてがおばあさんやおじいさんの目線や人生を通して描かれているのに、不思議な文章の力によって、人の心の根深いところにある童心が揺さぶられます。
サトウキビをかじったときのような滋味深い甘やかさの中に、ふいに生と死の陰影が垣間見えてハッとしたり。

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甘さと、ちくりとした毒や哀切とユーモアの調合が、えもいわれず魅力的!
思わず目を丸めて、くすくすと笑ってしまいます。

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大久保雨咲さんのこの新鮮な物語『うっかりの玉』に、たくさんの方に出会って欲しいです。

大久保雨咲きさんは前作『ドアのノブさん』は「大人もハマる児童書」としてテレビで紹介されていました。
本作『うっかりの玉』も、子どもからお年寄りまで、あらゆる人の心にじわーっと届き、くすくす笑いやほっこりした笑いを届けてくれる物語だと思います。



ぜひとも手にとってくださいませ!
どうぞよろしくお願いいたします!
 
posted by 草子 at 10:11| 本の仕事・著作

2017年08月11日

「絵本作家61人のアトリエと道具」に掲載

「絵本作家61人のアトリエと道具」(玄光社)が刊行されました。
61人の絵本作家のなかに、陣崎草子も加えていただいています。

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いや〜、いろんな作家さんの素敵なアトリエの写真がいっぱい!
憧れが燃えること間違いなしでしょう。
また、それぞれの作家さんが使っている画材について述べておられるので、絵を描く方には非常に参考になると思います。
画材との相性は、「自分が本当に描くべき絵」との出会いを大きく決定づけますね。
自分もしっくり来る画材と出会うまでは、ずいぶん心も体も絵もウロウロとさまよったものですが、今は、これからまだまださまざまに変化するだろうとは思うものの、体の芯がずしっと地球と結びついている、というような安心感が持てています。
「絵が変化する」のと「タッチが定まらずウロウロする」のとは、同じように見えて、実はまったく別のものであると感じています。


私は画材については実直に書いていますが、他の質問項目は、変なことを書いています。
(でも、おおいに真剣で、ウソは書いていません)

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※クリックすると大きい画像が見られます。
 
絵本作家をめざす人や、絵を描くすべての人が、「決定的な自分自身」とめぐりあえますように。
 
 

2017年08月07日

「飛ぶ教室50号」連載「ウシクルナ!」

光村図書さんより「飛ぶ教室 第50号」が発行されました。

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児童文学の大冒険の号で、豪華執筆陣によるリレー文学など、読み応えずっしりの号になっています。
表紙絵は長谷川義史さんですが、開いて最初の見開きドビラのグリーン!のページもため息のかっこよさ。
朴訥とした筆致ながらデザインとの相性抜群のハイセンス。やっぱり凄い、とうなってしまいました。

そして、陣崎草子の爆笑童話「ウシクルナ!」の第七回が掲載されています。
いよいよクライマックスに向かって、父ちゃんと四郎くんが母ちゃんの思い出について語らいますが、どうも母ちゃん、けっこう変わった人だったみたい。
さらに「白黒対抗歌合戦」に出場することになった四郎くん!
芸能界の大御所、黒蛹ギン子さんや、人気アイドルグループ「ストップ」の木村クタ也さんと会います。

ぜひ、本誌を手にしてお読みいただけますと幸いです。

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「ウシクルナ!」の特設ページでは、物語のはじまりが読めますよ。