2014年08月10日

掲載『俳句・川柳・短歌の練習帖』

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『俳句・川柳・短歌の練習帖』(土屋書店・刊)
坊城 俊樹(俳句)やすみ りえ(川柳)東 直子(短歌) /監修

上記の本の中で、東直子さんがご執筆の短歌のページにて
陣崎草子の短歌を掲載いただきました。

せっかく穴埋め式の練習問題にしていただいたので、その形でご紹介したいと思います。
なんとも嬉しいことに「言葉のセンスを磨こう!」というコーナーに引用していただいています。
わっ、言葉のセンスですって!
引用歌は以下です。

めちゃくちゃに積まれた廃車のため祈るつぎは(   )に生まれておいで

さて、( )の中に入る語句はなんだと思いますか?
正解を知りたい方は、ぜひ本書をお読みくださいね。
あるいは、いろいろな語を入れて想像をふくらませ、楽しんでみてください。
ちなみに、クイズの中で選択肢として記されているのはこんな語句です。
(宇宙人、孔雀、銀河、心臓、ホリデー、微生物、人魚、縄文人、人間、太陽、さようなら、数字)
どうでしょう? あれこれ入れかえてみると、なんだか可笑しくなってきませんか?
(ちなみにこれらの語句は、他の短歌作品からの引用です。単語だけを見て「あ、あの歌!」とわかるものがあるでしょうか? 穴埋め問題にされると、それぞれの語句がいかに意外性のある使われ方をしているかが、よくわかります)

本書の短歌練習帖、ひょっとしたら東直子さんは、くすくすと楽しみながら作られたんじゃないか、と思われてくるようなユニークな練習問題がいっぱいです。
(実際にはクイズが浮かばなくて〆切りがたいへんで……なんてこともあるかもしれませんが・笑)

例えば、「どれが短歌? 短歌をみやぶれ!」のコーナーでは、こんな出題。

祖母の一周忌。スズメ、強風のため今朝は庭に姿を見せず。  望月裕二郎
さかみちを全速力でかけおりてうちについたら幕府をひらく  同


上記は同じ作者による作品ですが、この二首に対して、「どちらが短歌? 短歌を見破れ!」とたずねるというのは、なかなか興味深い問いのように思います。
望月裕二郎さんは、昨年、第一歌集「あそこ」を上梓された歌人さんですが、かなり斬新な歌を詠まれる方で、「え? こういう短歌もありなの?」という領域への開拓意識の強い方です。
なのでこのクイズ、正解を聞いても、ちょっと驚きや不思議な感触が残るかもしれません。

一筋縄ではいかない言葉のひとつらなりを味わい、新しい衝撃や面白さを見つけることも、短歌の楽しみのひとつであり、言葉の世界の深さ広さを探究する、ひとつの手段だと思います。
現代美術が新しい価値感や美意識への扉を人々の前に押し開いてみせるように、短歌も三十一文字という道具を使って、人間が発明した言葉の文化(文明ともいうべきでしょうか)の可能性、限界点の突破口を探りつづけているのですね。

本書では、伝統的な短歌の美しさや楽しさ、新しい短歌の刺激的な可能性を、実際の作歌練習を通して、短歌の最前線を歩いている東直子さんが手引きくださいます。
ぜひ手にとってみてください。


posted by 草子 at 09:00| 短歌、詩