2015年05月11日

イベント報告:文学茶話会「子ども⇔大人のこんにちは児童文学」

4月26日(日)に、千葉県柏市の児童書と絵本の専門店ハックルベリーブックスさんにて、文学茶話会「子ども⇔大人のこんにちは児童文学」のイベントが開催され、パネルトークに参加してきました。

イベントの趣旨は、以下のようなものでした。

(1)まず前半に、とある4冊の児童文学、ヤングアダルト、青春文学からキーワードを引き、そのワードを元に参加者全員で物語を創作し、出来た作品を発表、物語をつくる楽しみを感じようというワークショップを行いました。

(2)そして後半では、参加者の中にテーマ書籍を書いた作家や、担当編集者が紛れていたことが明かされます。私も児童文学の作家として、覆面参加のような形でワークショップに加わりました。パネルトークでは他の作家や編集者、参加者のみなさんと児童文学についてさまざまと語り合い、意見交換する場を持ちました。
作家は坪田譲治賞作家の濱野京子さん、エンターテイメントなヤングアダルト作品で大活躍中のIさん、そして陣崎草子が、編集者は偕成社のSさん、講談社のKさんが前に出てお話しました。

◆今回、テーマ本としてあげられたのは、以下の四冊でした。


国家間の戦争による人々の痛みを、姿を消した「舞姫」と中立国にある戦災孤児を集めた学舎の少年少女の歩みを追うことで描く異世界ファンタジー。


一九六〇年代スペイン、戦争によって分断させられた人々の生活を背景に、一人の少年が人間や真実の裏と表を見つめ、葛藤し、成長してゆく姿を描く物語。


日本人の少年が主人公ながらシンガポールを舞台にした異色の戦争児童文学。ゴーストに接触することで多くの日本人が見過ごしてきた加害国としての歴史と出会う少年少女の物語。


友人たちと野犬捕獲阻止作戦を企図して奔走する中学生男子の物語。人間の社会に追われ、殺されようとする犬が、人間の少年に伝えることとは。


テーマ書籍はそれぞれに描き方は異なれど、戦争や、動物と人間の関係など、社会的な目線を持った物語であるという共通項から、「児童文学と社会性」というテーマを皮切りにトークが進行しました。
それぞれの作家や、本を世に送り出す編集者が、戦争や社会的な問題について書くとき、どういうスタンスを取っているか、また、どのような疑問や課題があるかといったことを聞くことができ、興味深い内容となりました。

メインテーマ以外には、以下のような話題も出ました。
・装丁の効果や、どのような装丁に惹かれて買うか。
・ヤングアダルトという名称をどう考えるか。
・児童文学の世界にはそもそも「大人の文学ではできない、新しくチャレンジングで実験的なことをしよう」という空気があった。
・絵本の作家と児童文学の作家の関係、遠さや近さについて。
・現役中高生のコミュニケーションの様態について。
・電子書籍について。
・こどもに本を読んでもらおうと思ったら、まず大人がもっと本を読めばよい。
・児童文学には大人も読まないと勿体ないような凄い作品がたくさんある。

ハックルベリーブックスさんのHPでも、レポートを掲載くださっています。
http://www.huckleberrybooks.jp/blog/archives/279.html

とても刺激的で充実した時間となりました。
ご参加くださったみなさま、ハックルベリーブックスさま、ありがとうございました。

 
posted by 草子 at 00:00| 展示・イベント