2015年08月07日

新刊『YA!アンソロジー 秘密』講談社

『YA!アンソロジー 秘密』(講談社)が刊行されました。
著者:小林 深雪  片川 優子  陣崎 草子  みうら かれん  安田 夏菜
絵:牧村久実

私は「秘密」をテーマに、短歌を題材にした「咲き誇れ」という中編を執筆しました。

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「咲き誇れ」は、歌人の枡野浩一さんの短歌との出会いがきっかけで交流が始まる、中学一年生の朝川朱里と、中学三年生の天川蒼一の物語です。

だれからも愛されないということの自由気ままを誇りつつ咲け  枡野浩一

物語は主人公の朝川朱里が、枡野浩一さんの歌集『ハッピーロンリーウォーリーソング』(角川書店)を図書室で手にし、歌集に収められた上記の一首に衝撃を受けるところから始まります。
朝川朱里と天川蒼一は、この歌集に短歌を書いた紙をはさみ、返歌を送りあいます。お互いを知らない者同士の「秘密」の交信。けれど、ふたりには何か他にも、人に明かしていないなんらかの事情があるようで……。

作中では、歌人の穂村弘さんの歌、『短歌ください』に掲載の冬野きりんさんの歌も引用させて頂いています。
また、天川蒼一の歌には、私、陣崎草子の歌集『春戦争』から、いくつかの歌を引きました。

何故生きる なんてたずねて欲しそうな戦力外の詩的なおまえ   天川蒼一(陣崎草子)

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牧村久実さんが、とても素敵な絵を描いてくださいました。
カバー裏の両サイドの二人が、朱里と蒼一です。
ふたりの中学生男女は、短歌を通してどのような心を交わしあうのでしょうか。

本書は小学校高学年〜中学生を読者対象としたエンターテイメント小説です。
私自身、小学校四年生くらいの頃に、氷室冴子さんが古典の「とりかえばや物語」を小説にしたコバルト文庫『ザ・チェンジ』に夢中になり、小説読書の扉を開いてもらいました。
本書が、今の小中学生のみなさんにとって、短歌の面白さへのいざないの扉となればよいなと思って書きました。

他の執筆陣のみなさんの作品もとても面白く、また、それぞれの作中の人物が少しずつ交錯し合う様子も楽しいです。
ぜひぜひ、手にとってくださいませ。


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「咲き誇れ」の扉絵は、分かるひとには分かる、枡野浩一さんの歌集の一頁のイメージです。
読者のみなさんが、本当に図書室や本屋さんで枡野さんや他の歌人さんの歌集に出会ってくださいますように。
あなたの学校でも、秘密の交信がはじまるかもしれません。



 
posted by 草子 at 09:03| 本の仕事・著作