2018年05月01日

鬼ヶ島通信 短歌連作「幾億のバネもつ子ら」

鬼ヶ島通信 50+20号にて、短歌連作「幾億のバネもつ子ら」を寄稿しました。
テーマは「バネ」という本誌では、そうそうたる作家の方々が自由な創作を寄稿されています。
http://onigashima-press.com

IMG_3096.JPG

短歌

青嵐 五体に埋まる幾億のバネぎちぎちと鳴らす少年

旗手たれと育てし親を憎みつつけれど時代の先端を跳ぶ

ちからちからちからをなんにももってないことのうれしさここに埋めとく

識るほどにふかかいであるあらそいのほしにうまれて土喰えば甘い

IMG_3097.JPG

〜極めて無責任に、国家の滅亡を待ち望んでいる〜


短歌は通常、小説などとは違い、編集者さんからの修正案や添削を受けることはなく、独りの作業となることが多いのですが、今回は物語の編集者さんだったこともあり、初案から「もう少し〜に」という感じで押し戻しの提案があり、そのために返って、ぽんっと飛躍するような状態がありました。
短歌は私にとって散文と比較すると非常に燃費の悪い文芸で、たった31文字を表すのに一週間も頭をひねる事もあります。
今回も一週間首をひねっても上手くひねり出されなかったものが、編集者さんの一言という刺激を受け、一瞬は「むむむ、ダメ出しか......」とネガティブに受け取ったにも関わらず、するりと一首が、今度は1分ほどで出て来ました。

谷川俊太郎さんがトークイベントで「ダメ出しされると、むっと思うんだけど、良くなるんだよ、これが」とおっしゃっていた事を思い出します。
一緒にするのはおこがましい話ですが、そのときは谷川俊太郎さんでもダメ出しがあるんだ!? と驚いたものでしたが、編集者さんのくださる押し戻しの一言というものが、この連作においては、ぐいっとドライブを切り替えてくれる要因となりました。

佐藤さとるさんの追悼号でもある、とても読み応えのある本書、ぜひとも手にとってくださいませ。